今期アニメの「終物語」がやはりと呼ぶべきか安定して面白い。探偵役の忍野扇に導かれて記憶をひも解きツインテール新キャラの老倉育(おいくらそだち)との関係を思い出していく過程がミステリー風味で良い。阿良々木の記憶力の無さに呆れることも多いけど。
この終物語の第2話で小道具として「モンティ・ホール問題」というのが出てきた。老倉育が下駄箱に残した手紙がモンティ・ホール問題になっている。このモンティ・ホール問題が少しやっかい。直感が裏切られるし納得しにくいのだ。
モンティ・ホール問題
- プレイヤーの前には A B C 3つのドアが閉まった状態で存在する。
- A B C のうち1つのドアの向こうには景品の新車が、残り2つのドアにはハズレのヤギがいる。プレイヤーはドアの1つを選択して当てると新車がもらえる
- プレイヤーが最初にドアを1つ選択をする
- 司会者(モンティ・ホール)が残り2つのドアのうち必ずヤギの存在するドアを開けてヤギを見せる
- プレイヤーは最初に選んだドアにするか、それとも残り1つの開いていないドアにするか選ぶ。
このときに「最初のままにするか? 残り1つを選ぶか? プレイヤーはどうするべきか?」という問題である。
図でゲームの流れを説明する
ゲームの流れを図で見てみよう。
①3つの扉があってプレイヤーは1つを選択する。
② モンティが残りのB、Cからヤギのいる扉を1つ開けてくれる
③ プレイヤーは再度選択する
この時にどちらを選んだら当たりを選ぶ確率が高いか?
というのがモンティ・ホール問題と呼ばれる問題である。
答え
どうしたらいいでしょうか? 正解は・・・
「ドアを変える」である。
ドアを変えない場合は 1/3 の確率で当たり
ドアを変えた場合は 2/3 の確率で当たり
-
・・・いやいや、 1/2 ちゃうの!?
直感では変えようが変えまいが確率変わらないのでは?と思う。
忍野扇「選び直そうが直すまいが確率的には一緒じゃないですか?」
僕もこれと同じ反応。だが変えるのが正しい。・・・なして?
理解の仕方
だいたいの人が僕や忍野扇のように「確率1/2 じゃん」と判断してしまうようだ。直感的に理解できないし納得しがたいが、いくつか理解するための手立てがある。
方法1 当たりから考える
Aを選んだ時に当たりがどこにあるか?から考えて納得する。
A B C 3つの扉のうちプレイヤーがAを選んだとする。
Aに当たりがある場合は
変えなければ当たり。
Bに当たりがある場合は
変えたら当たり。
Cに当たりがある場合は
変えたら当たり。
ほら、変えない1パターンに対して、変えるは2パターンある。
だから変えたほうが良い。
方法2 適当な計算をする
計算して納得する。
A B C 3つの扉のうちプレイヤーがAを選んだとする。
①-1 この時にAに当たりがある確率は1/3
①-2 この時にBに当たりがある確率は1/3
①-3 この時にCに当たりがある確率は1/3
これは当然わかる。
次にこの確率に加えてモンティの扉の開け方を考えてみる。
4パターンある。
②-1 Aに当たりがあってモンティがBを開ける
②-2 Aに当たりがあってモンティがCを開ける
②-3 Bに当たりがある→モンティは必ずCを開ける
②-4 Cに当たりがある→モンティは必ずBを開ける
計算してみる
②-1 Aに当たりがあってモンティがBを開ける確率は
①-1 より 1/3 × 1/2 = 1/6
②-2 Aに当たりがあってモンティがCを開ける確率は
①-1 より 1/3 × 1/2 = 1/6
②-3 Bに当たりがある場合(モンティがCを開ける)の確率
①-2 より 1/3 = 1/3
②-4 Cに当たりがある場合(モンティはBを開ける)の確率
①-3 より 1/3 = 1/3
そのままの時は ②-1と②-2 あわせて 1/3
変えた場合は ②-3、②-4 あわせて 2/3
だから変えた方が良いでしょ?
方法1と基本的には似てるんだけど数値を入れてみてあらためて納得できる。(これが数学的に正しいかどうかは分からないので深いツッコミは勘弁!)
他の理解の方法
もっと詳しく知りたい方はまずは Wikipedia を読んでみて欲しい。この問題が1990年代アメリカにて数学者を巻き込んだ騒動となったようで興味深い。
さらに分かり易いサイトや詳しい沼のようなサイトも出てくるので検索してみて欲しい。
他の理解へのアプローチとしては・・・
- 問題を拡張。プレイヤーは100個の扉から1つ選んでモンティは残り99個のうち98個 のハズレをオープンする。1/100 を選ぶか 99/100 を選ぶかの選択なら断然変えるでしょ? というもの。
- 試行回数を増やして検証。プログラムを組んで確認。
- 「ベイズの定理」を用いた数学的解法
などがあるようだ。ふ~ん・・・、ベイズの定理あったな~。
ベイスなら大好きなんだけどね(白目)
心理
面白いのはここから。「誤って確率1/2と判断してしまった場合」変えるのか変えないのか? これは変えない人が多いのだそうだ。僕もそうだ。1/2 なら最初のを選びたい。「最初の自分の選択を信じたい」、もしくは「変えるのメンドクセ」という気持ちから変えない。
実際にはモンティ(みのもんたの元祖みたいなやつ)のプレッシャーもあるだろうから、確率は偏っているけどゲームとして盛り上がるのだろう。
-
この問題、数学的センスがある人は直ぐに理解が出来るのかも知れない。僕は紙に書いてみるまで分からなかった。頭では整理出来なかった。その上で何回か試行して確かめてようやく納得できた。
数学的センスがある人は羨ましい。僕は理系だったけど残念ながら数学は暗記で乗り切ったタイプだ。もちろんほとんど忘れてる。具体的に数値を入れないと理解できない。シミュレーションしないと分からない。それもメンドクサさとの戦いを経てようやく取り組む。
年を重ねるに連れて直接の数学ではないものの、抽象力を要求される場面も増えて来る。難しい問題にあたる。そんな時数学を投げ出したくなったあの頃と似た気持ちを味わう。
個人的な意見だけど数学的センスの無さって自尊感情とリンクしているのでは無いかとも思う。ようするに間違いたく無いのだ。だから直感では解けない問題を忌避する。数学得意な人ってどこか堂々としてなかった? どっちが先か・・・。「自尊感情の無さが数学嫌いを生む」というのは僕自身も含めてあると思う。
ただ大事なのは「センスが無いなりにどう立ち向かうか?」 ということ。これは経験を重ねてようやく分かってきた。今いくつか難題を抱えている。面倒くさくて忌避したくなる気持ちがあるが紙に書いて手を動かすところからはじめようか・・・。
え~と、何の話だったっけ? モンティ・ホール問題だ。こんな風に様々に論点が広がるので面白い。本を一冊読んでみたくなった。
そして終物語。忍野扇は不気味なのになぜカワイイのだろうか? 老倉育はどうせデレるんだろ?と思ってるんだけど、どうなの?? 続きが気になるところ。

モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説
- 作者: ジェイソン・ローゼンハウス,松浦俊輔
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2013/12/18
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