僕はサラブレッドだ。
まずは以下の血統表を見ていただきたい。
こんなサラブレッドである。ハゲの1✕2。サンデーサイレンスもビックリなハゲのインブリード。ちなみに近親にも 従兄=ハゲ、 叔父=ハゲ など重賞制覇者を排出している名門と呼ぶにふさわしい血統である (泣)
参考 ー ハゲ界のレース体系
10代 2歳戦 早熟
20代 3歳戦 ダービー
30代 4歳戦 古馬
こんなイメージで良いと思う。適当。
父は僕が物心ついたときから既にハゲていた。「肩車してあやしているときにお前がむしりとってしまったんだよ」と幼少の頃に聞いた(ひどくね?)。心が痛んだ。覆水盆に返らず。髪は抜けてしまうと戻らないことを知ったのは早かった。
サラブレッドの生涯は厳しい。その戦いはハンデキャップ戦だ。繰り返されるハゲしいレースをどこかで降りるときがくる。生えるかハゲるか、そして受容するかだ。
ただ希望はあった。父方の曾祖父がドフサだった。この人が時代の割には相当な高身長で僕もだいたい同じくらいの身長。背が高いのは僕だけで従兄弟など他の親族は普通の背の高さである。
隔世遺伝。美しい四字熟語だ。僕はこの人の遺伝子を色濃く受け継いでいる・・・。この希望を胸にハゲ競争を戦うべく様々なことをしてきた。
育毛戦歴
ハゲ遺伝子を持つサラブレッドは、ときおり夜中にハゲしい不安に襲われる。いわゆる気性難だ。髪を乾かしてタオルを見る度に、枕元の抜け毛を見る度に刻一刻と時が迫っているような焦燥感がやってくる。
なにか武器はないのか? と寝間着のままドラッグストアを這いまわったり、Amazon を「育毛」で検索したりと、いまこの湧き上がる不安を鎮めるべくアイテムを探し求めるのだ。
まず手を出すものは薬用育毛トニック「サクセス 」だ。ハゲを憂う若者たちが手にする最初のアイテム。当時10代、最初に買う時は緊張したものだ。
ただこの商品は刺激が強すぎる。頭皮にしみる。余計に抜けるのではないかと思いすぐに使わなくなる。しかしまた不安にかられた際に何故かコンビニで買ってしまう。こんなカジュアルさだけが魅力の商品だった。
シャンプーも色々なものを使う。不安が訪れるたびに新しいのに手をだしていく。基本的に安いものは使わない。2500円くらいからがターゲットだ。サラブレッドらしく鬣(たてがみ)の毛並みを良くするためではないのが悔しいところだ。
「インディアンにハゲはいない」というキャッチでWeb広告を風靡した「インディアンシャンプー」というのも何度かリピートして買った。あれは使用感がすばらしく気持ちよくていいものだった。今思うとWebマーケティングの先鞭というか、あの会社上手くやったよなあと思う。最近広告見ないけどまだ売ってるんだろうか・・・
HairMax レーザーコームも買った。米国FDAが発毛効果を認めたハイテクノロジーな商品だ。ヘアーがマックスというド直球な名前も素晴らしい。当時の自分としては随分高い買い物だったけど、抜け毛の不安に焦りポチってしまった。ところが一回15分くらい頭にクシを当て続ける作業をしなくてはならず、物凄くめんどくさくて時間を取られるのですぐにやめてしまった。
ぶっちゃけLEDが仕込んであるだけのクシで、秋月電子で部品揃えて2000円くらいで作れそうな代物なんだけど、買う前はアメリカ生まれの最終兵器に見えたものだった。
他にもシャワーヘッドを交換したり、育毛に効くらしいサプリメントを飲んだり、良い材質の育毛ブラシ 使ったり本当に色々やった。ハゲの戦いはお金の掛かるものなのである。
気になるのがこれらのアイテム効果。 個人的には 効果はあったと言える。
そう、気休め としては十分な効果だ。
幾度と無くあの不安で張り裂けそうな夜から救ってくれた。気性難を抑えるシャドウロールやメンコみたいなものだろう。
育毛としては正直わからない。たぶん無い。
スイッチオン
育毛グッズで不安となんとか戦いつつも、今のうちにと脱色したり、変わったヘアスタイルを楽しんだりして 20代半ばまでなんとか競争社会を生きてこれた。しかしサラブレッドの持つ運命には抗えなかったのである。
仕事が忙しくてストレスが溜まり、夜はストレス解消のためそのまま遅くまで飲み歩く生活が続いた。そんなある日の夜、風呂に入ってシャンプーすると、今までにない量の抜け毛が発生した。手を動かすたびに抜け毛が絡みつく。イヤな予感だった。
いつのまにかスイッチがオンになっていたのかも・・・
そういえば手応えがスカスカになってキテル・・・
おでこを良く見てみると、M字が進行してる・・・
つうかこの濡れた状態の髪ヤバイ・・・
しばらく失意のまますごす。仕事も遊びも手に付かない。もう育毛グッズも手の届く範囲はあらかたは購入しつくしてる感がある・・・
ハゲの問題は、審美や金銭的問題もあるかも知れないが一番は「メンタル」なのである。よく「ストレスが抜け毛を増やす」というが「抜け毛がストレスになるってのにどうしたらいいの? 無茶言うなよ」と途方にくれた。
「これから夏で海行く約束してるのに、海行きたくない。濡れた頭がヤバすぎる。どうやって欠席しようか・・・」
この気持ちは非常にまずいことに気づいた。
もう一度しっかり戦おう。曾祖父からの隔世遺伝の望みは捨てた。残念だが身長だけいただいたと割り切った。
相談
それまでハゲについては誰にも話せなかったが、相談することにした。
職場の先輩を飲みにさそった。その先輩はハゲをさらけ出してネタにも出来る凄い人だった。写真を取る時に光量が足りなければ、そっとおでこを掻き上げて「フラッシュあるで~」と笑いを取るような・・・。
僕はそんな先輩を見ていつも「ハハッ」というハゲネタをやり過ごす特有の乾いた笑いを浮かべるだけだったけど、今はこの人が頼りなのだ。「結構キテルんですよ・・・」と打ち明ける。
先輩は「最近の薬の進化は凄いんだぜ」と言う。ビール片手に「みのきし汁」がすげえ!と連呼していた。その不隠な響きにあやしい漢方か民間療法か?と思ってがっかりしたが一応メモっといた。
さらに先輩は「まあ薬とか試すのもいいけど、受け入れるってのもアリだよ。精神的に怖いものが無くなるからな」と付け加えた。今でもこれは正しいと思う。その後は仕事や遊びの話で盛り上がった。僕も久しぶりに飲むことを楽しめた。
薬
謎の薬「みのきし汁」について調べてみると「ミノキシジル」が正しいようだった。あやしいものでは無く、れっきとした医薬品だった。薬の進化がすごいのは本当のようで、もう一つ「フィナステリド」というものもあるらしい。
フィナステリドは抜け毛を予防する防御型、ミノキシジルは積極的に発毛を促す攻撃型といったところだ。
ともかく、一度クリニックで診てもらうことにした。
遺伝的ハゲに効いた唯一の方法
唯一の方法とは多少煽りすぎたかも知れない。
その答えは フィナステリド だ。
(期待していた人スミマセン。やっぱこれが一番なんですよ)
クリニックでフィナステリドを成分とする「プロペシア」を処方して貰った。
これは思っていたよりも早く効果が出た。数週間であんなに増えていた抜け毛が止まり、常識の範囲内に収まった。しばらく服用を続けたが、スカスカだった髪の密度が戻ってきて、M字も完全ではないものの下にさがってきた。
フィナステリドの使用は5年以上になるが、特に耐性なども付くことも無く継続して効果を発揮している。ハゲについて考えることも少なくなった。今はもうシャンプーもその辺のドラッグストアで手に入る安いものを使っている。「STAP細胞には裏切られた」を別の意味で感じることも無い。とても心おだやかな日々だ。
遺伝的ハゲは、生活習慣で対策できるものではない。
僕の症例は AGA(Androgenetic Alopecia)、男性型脱毛症。いわゆる若ハゲだ。血統から言っても疑いようはない。正直この若ハゲの対策は投薬しか無いと思う。
よくハゲ対策として以下の様なことが言われる。
- 頭皮を清潔にする
- 食事に気をつける
- タバコは吸わない
- 脱色をしない
- 血行を良くするためにマッサージする
- シャンプーの仕方
- 睡眠をしっかり取る
- 直射日光を浴びない
- 帽子やヘルメットをかぶり過ぎない
これらは若ハゲ にとって 3% くらいしか影響しない瑣末な因子だと思う。僕は生活習慣が若ハゲを作る説には疑念を持っている。僕の父は早寝早起き、野菜と魚中心の食事など絵に描いたような規則正しい生活を続けていたがそれでも進行が止まることはなかった。
ストレスがスイッチになることはあるかも知れないが、結局サラブレットが持つ遺伝子には逆らえない。
もちろん規則正しい生活を否定する訳ではない。父は病気一つしていない極めて健康な体の持ち主だ。規則正しい生活はハゲ関係なく送るべきというだけである。
若ハゲに悩む人はいっぱい居るだろう。私のように眠れぬ夜に震え、様々なグッズに手を出す人もいるだろう。しかし現在では発毛効果が医学的にあるとされている薬が出ている。一刻もはやくAGAの診療をしてくれるクリニックの扉をたたいて処方してもらうのが良い。
ハゲを予防する方法など読んでみても、「遺伝的ハゲには効かない 」などと追記されてることもある。
ヒデェ!と憤慨もしたくなる気持ちも分かるが、つべこべ言わずにさっさとフィナステリドを試そう。そういうことだ。
プロペシアは高い。フィンペシアでも良い
最初はクリニックで処方される、MSD社による国産の プロペシア を使っていた。大事な体に関することゆえに信頼出来るものをとの考えからだが、1ヶ月7,500円、年間9万円の結構な出費だった。
そこで個人輸入代行で手に入る、フィナステリド含有の格安なジェネリック、「フィンペシア」である。フィナステリドが自分に効くことが分かったし、ダメだったらもとに戻せば良いと考えて「フィンペシア」に切り替えている。
フィンペシアに切り替えてからも、プロペシアとの差はとくに感じない。変わらずしっかりと抜け毛の予防になっている。
なお、フィンペシアの入手には「オオサカ堂」を使用している。今までに未着や不良品などのトラブルにあったことはないので安心。※値段も100錠 3,238円(6/27現在)とプロペシアに比べてかなり安い。
効き目には個人差がある。プロペシアもフィンペシアも取り扱いに注意が必要だ。副作用として男性機能の低下や食欲不振の症状が現れることがあるようだ。また女性はフィナステリドに絶対に触れてはいけない。詳しくはリンク先の説明で確認して欲しい。 僕自身は幸いにして副作用の影響は感じていないが「ハゲ or ED」って神様は全くヒドイことをするものだと思う。
2019年4月追記。さらにお得なジェネリック「フィナロイド」が出た。3箱 300錠 7000円。フィナステリドとは長い付き合いになるのでまとめて買いも経済的。
フィンペシアを開封する
オオサカ堂さんからフィンペシアが届いたので開封してみた。気になる方はこちらも合わせてどうぞ。
おわりに・・・
僕もサラブレッドとして若ハゲには悩んできた。でも先輩とフィナステリドのおかげで随分と落ち着いて見れるようになった。今はもう古馬としての戦いだ。もし今後フィナステリドが効かなくなって、ハゲの進行が再び始まったとしたらもうゴールしても良いかなとは思ってる。効いてる間はレースに出続けるけど、ミノキシジルを使って頑張るということもしないだろうな。
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はてなブログのお題が「梅雨の風景」ということで、「雨に打たれるのも構わない - Singing In The Rain」というスカしたエントリーを書いていたが、「いつの頃からか雨が頭皮に当たってる感じが強まってきたよな?」「 ハゲ・・・いや21世紀の雨はどうやら落下速度があがっているのではないか? 」という不毛な哲学を始めてしまったので思い切ってハゲ話に切り替えてみた。