一次試験が終わりましたら、いよいよ二次試験です。
- 6月最終日曜日 一次試験
- 7月5日~20日頃 一次試験合格発表
- 7月下旬~8月上旬 二次試験
自治体によりますが、だいたいこのようなスケジュールとなります。
二次試験までは1ヶ月程度の時間がありますが、合格発表を待つのではなく二次試験対策(論文・面接・集団討論対策)に取り組みましょう。一次試験の合格発表後では時間的猶予がありません。
一次試験の出来に不安な方も対策をとりましょう。なぜならば試験は今回だけではないこと。このあとB日程、C日程もありますし、本意ではないですが次年度以降も試験はあるからです。
なお私の二次試験準備期間はほぼこの1ヶ月程度の期間だけでした。B日程以降の受験も準備していましたので、一次試験筆記試験の準備よりも精神的にはキツかったです。
壁となってくるのが、何をしたら良いのか分かりにくいことです。
一次試験では「過去問の問題集を解けるようになる」というわかりやすい指針があり、成果や足りないところも把握しやすかったですが、二次試験は見えにくい。そのあたりもイメージいただけるように書いていきたいと思います。
今回は私の独学・既卒・高齢・社会人経験者・地縁のほぼ無い自治体という条件でも内定を得ることが出来た経験から、二次試験における論文対策と書籍を紹介します。
※2019年4月 2019年度版にアップデートしました。
論文試験
二次試験に課される論文は一般的には教養論文という科目になります。
60分から90分前後の時間で1000字程度の文章を課す自治体が多いようです。地方分権や少子高齢化問題、地方財政、環境問題などまさに公務員が担う領域である社会性強いテーマが出題されます。
また今ですと「TPPが与える産業面・農業面にあたえる影響」とか「爆買い中国人観光客をどのように取り込むか」「大規模災害対策」など時事性の強いテーマも出題されます。これに受験する自治体の特色、立地、産業、観光などの課題が関連してくるわけです。
- 社会性
- 時事性
- 自治体の特色
こう聞くと非常に幅が広く難しいように感じますし、そもそも文章を書く機会が無い方にとっては鬼門のように感じるでしょう。
しかしこの論文は試験なのです。パターンがあります。パターンに当てはめる問題とらえた方が攻略しやすいです。私もそうでしたが、最初はヒドイ状態でも短い時間で合格水準に仕上げることは可能です。ポイントを順を追って説明していきます。
STEP 1 まずは論文試験がどのようなものか知ろう。
▼ 試験の把握
私はいくつかの書籍を使いました。以下のような書籍を使って論文試験の概要を把握しましょう。
現職採点官が教えるシリーズです。採点官の観点から、論文の基礎的なところにフォーカスした書籍です。テーマ等よりも基礎力や表現のテクニックならこの本かなと思います。気をつけるべきポイント毎に構成されています。そのポイントは別途A41枚くらいの紙にまとめてチェックシートとして使えるようにしておきました。
こちらはTACの山下さんによる、秘伝シリーズ「論文試験の秘伝」です。問答形式で分かりやすく読みやすいです。なかなかテーマ選定も濃くて、基本の20テーマ+今後出題されやすそうな時事性の高いテーマ 5個について出題対策のポイント、必要なキーワードがまとめられています。
▼ 論文のフォーマットと書き方を知る
原稿用紙を正しく使うことなどです。「行末の句読点は1文字に入れる」「括弧は一文字」「数字は二桁で一文字分使う」などなど細かい、ウザいルール。
分量は規定の9割5分くらい使って書く。1200文字だったら1150文字くらいで書く。勿論オーバーはダメです。これらを外さないようにルールを身に付けることを意識してください。
フォーマットはウザいですが非常に重要です。採点項目として内容とは別に独自に設けられていると考えたほうが良い。逆に言えばフォーマットを守るだけで点が確保できる(あるいは減点されない)ということですね。
また「漢字を間違えない」ことや「字の綺麗さ」など丁寧に書くことも大切です。このあたりは試験時間とのトレードオフになりますので、実際に手を動かして書いて練習していきましょう。
STEP 2 テーマの収集
▼ 頻出テーマの把握
公務員試験の論文には頻出テーマがあります。この頻出テーマの把握にはおすすめのバイブルがあります。論文試験のスー過去こと「論文試験 頻出テーマのまとめ方」シリーズです。毎年改訂されており、独学の受験生はまず手にするものだと思います。
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地方上級・国家一般職[大卒]・市役所上・中級 論文試験 頻出テーマのまとめ方 2020年度
- 作者: 吉岡友治
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論文の書き方ではなく、テーマについての参考書のような本です。ネタ元という位置づけですね。問題集や演習書でもない読み物系。これだけでは論文が書けるようにはなりませんが、どのようなテーマが問題となるのかを学習するのに適した非常に良い本です。
公務員試験で出題される論文のテーマはだいたい20個位に集約されます。(外れたものも勿論でますが、その時はみんな厳しい^^)巻末には全国の自治体で出題された過去のテーマがまとまっていますので、ここを見るのもイメージが掴めると思います。
▼ 自治体を知る。
頻出テーマに加えてその自治体毎のテーマをつかむことも重要です。まずは過去問のチェックから。公開されている過去の論文のテーマを確認する。
次に自治体のホームページやパンフレットから政策やプロジェクトなどを確認する。地理・産業・観光・交通などの情報を整理する。これらは論文だけでなく、集団討論のテーマにも上がりやすいので必須です。
STEP 3 論文を書く
論文試験の力をつける効果的な方法は、合格水準にある論文を写すことです。

地方上級論文対策これが合格論文だ!―ブラッシュアップで練り上げる合格圏突入への論文力
- 作者: 公務員試験論文研究会
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注目するべきテーマについて、具体的に論文をあげて添削や評論をしています。まず最初にここから何本か答案例を写すというのは、個人的に非常に効果があったと思っています。すでに古い本でしたが探して良かった。
いちから自分で書くよりも、合格水準の文章を覚えた方が早いというコンセプトでこの本を使いました。「序論」「本論」「結論」の構成もコピーすることによって身につきます。
但し、この本に限らずですが、例文はどれもしっかりしすぎたものだと思います。実際の試験でここまで書ける人は皆無でしょう。目標にしつつもその通り書けないからと言って落ち込むこともありません。
論文試験への取り組み方
▼ 学習時間
論文はいつから勉強すれば良いのか? 私は直前での対策が中心となりましたが、早い段階からコツコツ取り組んだ方がよかったなと今は思います。年明けから学習開始するとして週1回、論文対策の時間をつくる方が良かったと思います。
テーマを一つ選んで、現状・問題点・解決策についてまとめてみる。論文を一つ写す。論文を一つ書く。などを週の学習のルーチンとして入れると良いでしょう。一次試験勉強の息抜きとして取り入れればよかった。
一次試験対策はなかなかキツイです。集中できないこともある。そんなときに週1回でも、より公務員としての本分に近い論文試験の学習をすることは息抜きにもなります。
私は一次試験終了後から一日2時間程度の論文学習時間を作りました。概要把握が済んでから、一日一テーマずつ取り組みました。
- テーマについて頭に叩き込む
- 簡単にメモしてキーワードや構成などノートにまとめる。ノートは1テーマ2ページくらいの簡素なものです。
- 論文を書く(試験時間分の時間を取る)
このようなスケジュールです。3つ目の「論文を書く」は日によって「解答例を模写する」「PCで書く」「手書き」という形でやることを変えていました。
▼ 手書き
今は長文を書くのもPCを使うことがほとんどです。実際の試験は手書きです。絶対に数回は時間を測って、手書きで論文を書く練習をしてください。フォーマットが守れているか? 字は丁寧か? など意識してください。
PCだとコピペが使えるし、更正がしやすいですが、手書きはそう簡単に行きません。学生はともかく、社会人の方は字を書くことから離れていると思います。
最善の学習法はテーマひとつひとつに対して自分の答案を用意しておくことです。その全てとは言いません。それはそれで効率が悪すぎるので、数回は手書きで原稿用紙に書くことをおすすめします。私は全部で7回分ほどは手書きで書く練習をしました。
▼ 第三者に添削してもらう
出来たら添削をしてもらうのも良いかも知れません。当サイトは独学推奨サイトであり私も自力で合格出来たのですが、添削してもらっても良かったかなと思ってます。公務員試験での実績がある予備校等の単科があれば受講を検討しても良いかもしれません。
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