人文科学分野は、世界史、日本史、地理、思想、文化・芸術と言った科目から成り立ちます。どのような本(参考書・問題集)を使って学習を進めて行けば効率的に合格に近づくのか? 私の独学での合格経験をもとに勉強法と合わせて、おすすめの良書を紹介していきます。
公務員試験の難関
公務員試験で一番きついのがこの分野だと思います。なにが厳しいって暗記量が膨大なこと。勉強の手応えが一番掴みにくいです。
法学や経済や数的処理は学習量に応じて自分でも出来るようになるのが分かりますが、この分野は範囲が非常に広くて山を張って学習しても知らないところが出たら全くお手上げ。心を折りに来る科目ですね。なお出題のレベルは大学入試センター試験と同レベルと言われています。※私は高齢のおっさんでしたので、センターってこんな難しかったっけ?ってのが率直なところです・・・
取捨選択が必要なのですが、世界史・日本史・地理のうち2科目は対策取るようにすべきだと思います。どれを優先すべきかの尺度については2つあります。
一つ、大学受験で取り組んだ科目であること。もう一つは他科目との関連です。世界史、日本史は他科目との関連が強いです。地理は国際関係などもありますが一歩引く感じ。ですので世界史、日本史を優先した方が良いでしょう。
また問題集・参考書の選択も難しいところ。いわゆる試験本ジプシーになりがちな科目です。というわけで皆様の選ぶ参考になればという思いを込めて本項を進めていきます。
世界史・日本史の勉強法
両方とも 比較的重要な科目 です。
私は理系ゆえ、世界史・日本史を大学受験の時に選択しなかったので大変苦労しました。もちろん掛けた時間は法学・経済・数的処理のほうが圧倒的に多いのですが、それに次いで時間を掛けた科目だと思います。
地方上級では世界史は2問~3問。 政治学・行政学・国際関係、そして時事にも関わってくる重要な科目です。完全に捨てるのも効率が悪いやっかいな科目です。そして日本史も同じように2問~3問でます。近現代史は選挙制度や経済などにも関わってくるのでこちらも捨てずに勉強する戦略を取りました。
STEP 1 基本事項のインプットは語句の暗記から
まず社会人時代になんとなく買っていた山川の大人向けの教科書「もういちど読む山川世界史 」と「もういちど読む山川日本史」を使って正攻法でインプットすれば良いのではと考えたのですが、あまりに効率が悪かった。そこでこんどは逆に語句をなんとなく頭に叩き込んでから問題を解くという考え方にシフトしました。

公務員試験テキスト 10日でわかる!クイックマスター 人文科学
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クイックマスターの小型のテキストです。テキストとありますが、参考書ではありません。単語とその説明が数行ならんでいるだけ。これをまずはこの本の通り一日、一分野ずつ読んで「どんな時代があってどのような語句が出て来るのか」把握することから始めました。
※Kindle 版もあります。
ただし流れが把握できないと、語句は見たことあっても正解を導く力がつかない。ということでセンター試験用の参考書を使いました。 世界史はこちら「センター試験 世界史Bの点数が面白いほどとれる本」です。
これは精読はせず、流れが分からないときに振り返るようにして使いました。センター試験用の参考書ですが公務員試験の学習にもマッチしています。それにしてもわずか数問なのにセンター試験と同じ勉強をしなければならないので負担感は高いです・・・。
日本史は「もう一度読む 山川日本史」に立ち返りましたが、普通の教科書と似て非なるもの。受験用になっていない印象です。重要事項など整理が行き届いておらず負担の大きい物でした。私はこれでも非常に苦労してなんとかなりましたが、他のセンター試験のものを使ったほうが良いと思います。
STEP2 問題演習
最初は「スー過去」を使おうと試みましたが、内容が薄く頼りなかったので新たに「クイマス」を導入してすすめました。 クイマスの中でも人文科学はかなり良い出来で使えます。

公務員試験 過去問 新クイックマスター 人文科学I(日本史・世界史) 第8版 【最新平成30年試験問題収録】
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こちらのほうが日本史・世界史のみで構成されているため、問題数が多く解説が丁寧で良かったです。クイマスの章末の一問一答正誤クイズのコーナーも学力向上に役立ちました。
日本史・世界史の勉強法
私は高校の時に地理選択でしたので、日本史・世界史はほぼ初学でしたが、上記の書籍をつかって繰り返し問題を解いていくことで、なんとか得点できるレベルにはなりました。
問題文、選択肢の言い回しが嫌らしく言葉を知ってるだけでは絞りにくいのも特徴です。完全には覚えてませんでしたので、自分の持てる知識から類推するというような解き方が多かったです。こういった力をつけるためにも問題を繰り返し解く、慣れていくことが肝心。そして一度解けたからといって放置せず、定期的に復習の時間を設けることが大切です。
▼ 頻出の時代を抑えよう
そうはいっても全部勉強するのは相当に負担がかかります。覚えた端からあやふやになっていくので時代を絞るのもの一つの手です。50%くらいは得点できるようにしておくという考えです。
日本史は「江戸時代の改革」「明治」「大正(政治・経済)」「戦後」あたりが頻出です。だいぶザクッとしてますがw
世界史は「十字軍」「ルネッサンス」「絶対君主制・市民革命」などを抑えておきましょう。また第一次世界大戦からの現在までの戦争・紛争などの流れは国際関係などと絡めて頻出です。中国史は余裕があれば。イスラムは捨てでOK。
地理の勉強法
地理は日本史・世界史同様、地方上級公務員試験では2問から3問出題される科目です。ただし他科目とのシナジーが薄いので学習の優先度的には世界史、日本史よりは落ちます。
この科目も覚えることは膨大です。私はセンター試験は地理で受けましたが、その頃から時間が経ってるだけあって、例えば鉱物資源や農業生産などの統計が変わっていました。再度覚え直したような感じです。
なお地理は暗記の科目と言われますが、公務員試験の地理は単純な暗記では解けないものも多いです。知っている知識を総動員して、工業や農業と歴史と地政学的位置から推測して間違った選択肢を切っていくという高度な問題が半分くらい出る印象です。これらは運が良ければ解けるが、いくら勉強しても完璧になるとは思えません・・・。
STEP1 基本事項のインプットは語句のうろ覚え暗記から
世界史・日本史の項で紹介した「クイマスのテキスト」を使います。どんな分野があるのか、どんな単語が出てくるのか? を把握していく使い方ですね。
STEP2 問題演習
問題演習は「出るとこ過去問 セレクト55 人文科学」を使用します。こちらは参考書も兼ねてます。問題量は少ないですが、厳選されているのが特徴です。

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地理の勉強法
地理も範囲が広大です 。しかも難度が高い問題も高頻度で出ます。ある程度のレベルで割り切るために「クイマス」などヘビーな問題集は使いませんでした。
また世界史・日本史以上に暗記した端から忘れていく科目です。これも繰り返し復習。「セレクト55」のレジュメを読んだり、「クイマステキスト」の単語を覚えたりというのを空き時間で継続して続けていく必要があります。
▼分野を絞って山をかけるなら・・・
頻出分野に山をかけるのも試験戦略上はありです。
「土壌」「地形」「気候」に絞って学習し、余裕があればアラブなどの「紛争地域」を掴んでおきましょう。工業・農作物・鉱物資源・水産物などまで抑えておくと、問題解答の類推力があがりますが、負担は大きいです。
思想、文化・芸術
全力で捨てる 科目です。
正直捨て科目です。というのも地方上級試験では1問出題されるかされないかの効率が悪いだからです。余裕があれば世界史・日本史・地理で購入した人文科学系参考書についている簡単な問題だけ目を通しておく。くらいの感覚で良いと思います。私はこの分野は自身の持つ教養力に賭けることにして無勉で臨みました。
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