カモメってのはだいたい何処の波止場にも存在する。
今日は釣りの話。ブログで「釣り」と聞くとネットスラングを思い浮かべる方も多い汚れた昨今だが、本来の釣りの話である。ちなみに「竿」と聞いて思い浮かべたモノはなんですか?
仕事を辞めてた時期の話、ある海辺の地域に数ヶ月ほど滞在していた。晴れた日は釣りばかりしていた。
朝一のアラームと共に潮の満ち引きと天気予報を確認する。晴れならばクーラーボックスに保冷剤を突っ込んで出発。コンビニで大きなペットボトルのお茶と唐揚げのついたおにぎりを買う。朝早くから開いてる釣具屋に立ち寄り、オキアミ1ブロックとアオイソメを買う。
車を走らせて目当ての釣り場の隅っこにとめておく。朝マズメの回遊を狙って、コマセを撒きサビキ釣りの仕掛けを投入する。大きなウキがグッと沈むのを待つ。片手間に投釣りの仕掛けを準備する。
海辺の朝は本当に美しい。だが釣りをしている時は案外その景色など楽しむこともなく、竿先やウキばっかりながめてしまう。朝マズメが終わったあたりから家で朝食を食べ終わったらだろうご近所の、年金釣り師と呼ばれる人達がずらずらとあらわれはじめる。彼らはクーラーボックスなど持たない。スーパーの袋に釣れた魚を持って帰る。その日食べる分だ。
回遊の様子を伺いながら、適当に投釣り用のしかけをポーンと飛ばしては、暫くして巻いてみるというのを繰り返す。釣れない時は迷う。「なんで今日も来てしまったんだか・・・」とか「場所を買えてみれば釣れるかも知れない」とか「東京のこと」「もっと三浦半島で釣りすれば良かった」などとあれこれ考える。
満足行く釣果が得られれば昼ごはんで切り上げる。釣れなければ夕方まで粘ってしまうことが多い。 夕まずめの回遊のラストチャンスを夢みる。サビキも餌を入れず疑似餌針だけにして放置しておき、オキアミは夕方の戦いのために残しておく。運が良ければ疑似餌針だけでも食いつく。
釣れない帰りはいつものラーメン屋に立ち寄る。10年分もの釣り雑誌のバックナンバーが積まれている。油にまみれた釣果情報のコーナーを餃子をつまみながら眺めて、記事中の大物を掲げるおっさんに明日の自分を重ねあわせ、ココへ行こう! などと夢を見る。
釣れたら最高だ。スーパードライを片手に今日の釣果をさばく。刺し身用、干物用、フライ用と一気に下ごしらえまでしてしまう。干すと美味しくなるのは不思議だったな。
釣り師は吹く
この時期週1、2回のペースでほとんど同じ店に飲みに行っていた。小料理屋のような明るい大将とやさしいお母さんが切り盛りするお店。そこでの話題はもっぱら釣りだった。
釣り人は酒の肴に釣った魚の話をする。「どこの港がたくさん出たよ」とかの近況の話ならいいんだが、昔の話になることも多い。工事で潮の流れが変わって出なくなったとか、昔はもっとサイズが大きかったとか、バブルの盛りに南太平洋でメートル級を釣り上げてたとかね。
吹かすことも多い。
45cm超えのチヌと格闘して釣り上げたこととか、竿を投げるだけで面白いように釣れて仕掛けの交換が間に合わない話とか、季節はずれの大物カレイがかかった話とか、ゴミだと思って引きずったら大きなタコだった話とか。・・・まあ、これは僕の持ちネタなんだけど。釣果は過大と疑いつつあたたかく聞くべしというのはマジな教訓。
毎回釣れるわけではない。パチスロの大当たりの話と似ているのかもしれない。
釣りのコツ??
あくまでライトに波止釣りを楽しむレベルの話なんだけど、釣りに大切なことってなんだろう。道具?経験?テクニック? 否。重要なことは場所、時間帯。そして一番は魚の回遊だと思う。
お魚がいること。
それがほとんどの要素を占めている。釣れない日ってのは魚がいない。お魚さんがいてはじめて道具とかテクニックが生きてくるのではと思う。昨日釣れたからと言って今日釣れるわけでも無い。 彼らが回遊してくれる運が必要なのだ。
僕はずっと 「わくわくセット」で戦っている。波止からの釣りならばコイツで十分だった。地磯で45cmのチヌとの戦いにも勝利してくれた。まわりには工芸品のような美しい道具を使うおっさん達もいたが、釣果は変わらなかったと思っている。 やっぱお魚さんがいるかどうかの方が重要。

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安いので気にせずガンガン使えるのもありがたいところだ。駄目になったら新しいわくわくセットを買う。飲み屋で知り合って僕の吹かしエピソードに共感してくれたおじさんから高価な竿を譲り受けたが、綺麗すぎて使うのが惜しくあまり使ってない。ごめんよ。おじさん!
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夏から晩秋までの釣りシーズンを楽しみ、寒さも辛くなったころにその場所を離れた。釣りをライフワークにしよう、また釣りの楽しめる場所がいいと思って、次も海沿いの街を選んだ。しかし新しい場所では同じような景色の海なのにあまり釣れなかった。なぜかお魚が少ないのだった。いい飲み屋もなかった。そこはすぐに引き払って今度は山を求めて山麓の街に滞在することにした。