政府は23日、国家公務員の就職氷河期世代を中途採用枠で採用するための統一試験の実施を決定した。
昨年から就職氷河期世代対象に公務員の中途採用の動きが具体的に見られるようになった。宝塚市が氷河期世代に的を絞った試験を実施したのは記憶に新しい。
倍率545倍という狭き門。実態は狭き門というよりフェアウェイの彼方にあるカップのようなものだったが、最初の取り組みであり多くの地域からの候補者が殺到したため仕方がない。
氷河期内でもその中での世代や現時点での立場、歩んできた道のりによって見える景色は異なるだろうが、就職氷河期の末期に該当する人間としてこのニュースで浮かんだあれこれを整理しておきたい。
- 就職氷河期世代対象の統一試験実施
- <参考>2020年度の通常の国家公務員試験の日程
- <参考>2019年度の厚生労働省の氷河期世代対象 国家公務員募集
- 就職氷河期世代の統一試験内容・難度
- 氷河期世代採用試験に対する雑感
- 公務員試験 経験者として
就職氷河期世代対象の統一試験実施
政府は23日、バブル経済崩壊後に就職難だった30代半ばから40代半ばの就職氷河期世代の支援策として、国家公務員の中途採用枠で重点的に採用するため、統一試験を実施することを決めた。
就職氷河期世代に統一試験実施 国家公務員中途採用で(共同通信)
改めてこの決定については個人的には満点とは言わないまでも歓迎である。もっとも全貌が分からないしから採点などしようがないし、この施策の結果がでる頃にはまた長い年月がかかるだろう。
対象年齢
- 30代半ばから40代半ばの就職氷河期世代
一般的に就職氷河期は1993年から2005年卒までと言われている。本来であれば国家一般職の年齢制限を廃するのが正しいと思う。施策の終了時には引き継いで欲しい。
方針
- 非正規雇用労働者の正規雇用への転換、引きこもりの人
不安定な雇用にある層はともかく引きこもりの無職まで集中的に支援する方針のようだ。
実施時期
政府がこの日取りまとめた氷河期世代支援の総合的な行動計画に盛り込んだ。採用試験は来夏に向け規模や各省庁での方針を詰める。
共同通信の記事では分かりづらいが、来夏からの実施となる。通常の国家公務員試験と同じく5月以降の実施となるだろう。
いつまで実施されるのか?
- 2020年度から3年間が集中期間
2020年度から3年間を集中期間として、同世代からの国家公務員の中途採用を拡大する方針とのこと。かなり重要。
冒頭の宝塚市の氷河期世代採用のニュースを見た際に単発ではなく継続出来るかが鍵だと思った。まずは期限付きであるが想定よりも長いというのが率直なところ。
現時点で分かることはこんなところだ。
<参考>2020年度の通常の国家公務員試験の日程
参考までに。2020年度の通常の国家公務員試験の日程は12/2に発表済みされている。
◎一般職試験(大卒程度試験)
申込受付期間(インターネット) 4月3日(金)9:00~4月15日(水)
第1次試験日 6月14日(日)~~~
最終合格者発表日 8月18日(火)
2020年度国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)及び一般職試験(大卒程度試験)の日程について
氷河期世代採用試験についても早い内に動きがあるだろう。人事院の国家公務員試験採用情報NAVIなどでチェックすると良い。
<参考>2019年度の厚生労働省の氷河期世代対象 国家公務員募集
12/25 厚生労働省は2019年度中に10人規模の氷河期世代対象募集を発表
来期からの統一試験とは別枠となる。
受験資格は1970年4月2日から85年4月1日までに生まれ、正社員としての雇用経験が過去1年間はなく、過去5年間でも通算1年以下の人が対象。勤務地は厚労省本省。
厚労省、氷河期世代10人採用へ 国家公務員募集、内閣府でも(時事通信) - Yahoo!ニュース
今年度内に内定で5月1日から採用見込み。内閣府でも実施される。動きを早めている印象。
就職氷河期世代の統一試験内容・難度
恐らく通常の公務員試験と同じく、一次試験の択一式教養試験と二次試験での筆記・論文、面談となると思われるが現時点では未定。
難度も現時点では不明だが、学生時代からすでに20年に及ぶ歳月が経過した氷河期世代が対象であるため、初級程度の問題になるのではないだろうか?
氷河期世代採用試験に対する雑感
個人的にこの流れは歓迎したいが、氷河期世代救済のための特効薬にはならないだろう。真に救済するには企業側へも広がらなくてはならないが、正直難しいだろうという諦観はある。
試験に限らず就職氷河期対象の関連予算として650億円超が確保されて様々な支援に使われるらしいが新国立競技場の半分以下。それでもやらないよりはマシであるということで評価している。明確に氷河期世代限定でチャンスが与えられることなどこれまで無かったのだ。
そして我々世代としてはチャンスがあるなら掴まないと大変というのは人生で嫌というほど味わってきただろう。
(さらなる雑感はあらためて追記する)
公務員試験 経験者として
私はかつてある企業を退職したのち公務員試験を受験した。既卒の高齢ながら合格することができた。紆余曲折あり結局は所持していたスキルが活かせる隣接領域の企業で働いているが、当サイトでも受験当時の経験に基づいたコンテンツを用意している。
来季実施の要項がまだ不明であり、難度もはっきりしないが通常は教養試験だけでも膨大な範囲。ニュースとなった今日時点で残りわずか半年。試験を受ける覚悟を決めるのも時間は必要だが、余裕はない。
正直この年代で僅かな可能性のために半年もコミットするのは難しいだろうし、今更またペーパーの振るいで競争させるのはどうなんだとも思う。
マクロでみるとこの施策には色々と疑問符はつくが、なんだかんだ公務員は安定した職。チャンスを得たいなら早いスタートほど良いのは確かだから悩ましい話である。ひとまず教養試験用の過去問500を手に取るところからになるだろうか。