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一番古くて鮮明な記憶 ~ 命の連鎖

エッセイ

一番古い記憶の話をしよう。

鮮明に覚えているのは弟が生まれた前後のことだ。
2歳と10か月くらいのことになる。 

母親に手を引かれてゆるやかな坂を登っていた記憶がある。
たしか太陽がまぶしくて暑かった。
横を車が通ったり、バスが通ったりしていた。 

それからしばらくしてとつぜん母親がいなくなった。理由がわからない。
ただ「お母さんがいなくなった」と思った記憶がある。

 

 ずいぶんと長い間お母さんがいなかった。
お父さんと二人で過ごした。たぶんはじめてのことだ。
「ねぇ?おかあさんは?」と何度も聞いた気がする。

しばらくしてからお父さんに連れられて、おおきな病院にいった。
病院ということは建物に入ってから理解していた気がする。


お母さんにずいぶんと久しぶりに会った。
少し話したのちにお父さんに連れられて廊下みたいなところへ行った。
ガラス越しに向こうの部屋がのぞける場所だった。

ガラスの向こうをのぞこうとしたが、高くて無理だった。
踏み台にのっても向こうは見えなかった。
結局お父さんに抱きかかえられて、ガラスの向こうを見ることができた。

 

そこには小さなかわいい赤ちゃんがいた。弟だ。
 「おお!赤ちゃんだ!」と思った気がする。
 お父さんから「お前がお兄ちゃんになったよ」と言われた。

 

これが鮮明に覚えている初めての記憶だ。
お母さんのお腹が大きくなったこととか、たぶんしているであろう
「赤ちゃんが動いてるよ~」とかの記憶は一切ない。 

とつぜんお母さんがいなくなり、弟が生まれていた。
弟が生まれた日。この時から記憶がはじまっている。

これ以前の記憶も断片としてはあるような気がするけど
筋書き立てて説明できるものではない。

のちに答え合わせをするのだが、母親に会えなかったのは一日だけだった。
僕と坂を歩いたその日の夜に弟を産み、僕は次の日に会いにいったというわけだ。
ずいぶんと長いこと2か月くらいお母さんがいなかった気がするんだけど気のせいだった。

 

命の連鎖

最近になって弟の息子の世話をする機会がよくある。甥っ子だ。
甥は人見知りだ。同じくらいの年頃の周りの子が砂場とか遊具で遊んでいても中々輪に入っていかない。砂場で遊びたそうにはするのだけど・・・

ひょいっと抱え上げて砂場に連れてく。
「よーし、遊ぼうか」って声をかけるとおそるおそる遊びだす。

 こんな時記憶の底をくすぐられる感じがする。
「あれ? これと同じこと昔よくしていたような気がする・・・」

 そう。弟とまったくそっくりなのだ。
よく弟のわきを支えて砂場に連れて行ったよな~。
家の中だと威勢がいいところもそっくりだ。笑ってしまう。

抱え上げた甥っ子の重さに命が世代として繋がっていくことを実感する。
まことに尊いものだ。うんうん。

 

えっ・・・? お前の子供? いいかげん結婚したら?
うるせーよ! ほっとけよ。 

さーて、今日の晩御飯はなににするかなー? 
金曜夜はいつにもまして「自由(フリー)」というフレーズが良く似合う。

だいたいさー、ほらアレじゃん? 友達みてもさー
残ってるやつは兄姉ばっかりじゃん? 
なんかあるんだと思うんだよねー。

だからまだヘーキ、余裕ってか普通なの・・・・・ブツクサ、ブツクサ

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今週のお題「一番古い記憶」